コーティング剤を空拭きする際のクロスについて
こんにちは。

今回はコーティング剤を塗布した後に
空拭きをする際のクロスについて
説明をしてみたいと思います。
おそらくガラスコーティング施工を
生業にしている業者の方が使っている
ものをはじめ、一般に市販されている
ガラスコーティング剤に付属あるいは
おすすめされているクロスといえば、
マイクロファーバークロスがほとんどでしょう。

実はセラミックガードNEOを販売するにあたり、
私自身もいろいろなマイクロファーバークロスを
サンプルとして購入し使い倒してはみたのですが、
正直なところ使い心地にまったく納得がいきませんでした。

口で説明をするのはとても難しいのですが、
感覚的に一言で言うと「必要以上にコーティング剤が
こそぎ落とされている感じ」がつきまとって
しまうのです。試しにプロのコーティング業者の
方にその件を話してみたところ、「確かにそんな
感じはするけれど、これを使ってみれば?」と
何種類かのプロ仕様のクロスもいただいて
使ってもみました。
しかし大同小異の感が強く、やはり納得
できませんでした。

もともとセラミックガードNEOは去年11月には
販売する予定でした。ところが空拭き用クロスを
セット販売するにあたり、今までお伝えしたように
何を使ってみてもなかなか納得いかず、それが
原因で販売延期を余儀なくされているのが現状なのです。

私は長年石材のメンテナンスに携わってきた関係で、
石材のコーティング施工に関してはいくつもの
トライアンドエラーを繰り返してきました。
今回車用コーティング剤マイクロシーラー
セラミックガードNEOの開発にあたり、車のボディ
コーティングについていろいろ調べ、実際の
コーティング施工の現場を見て深く認識したことは、
車用コーティングは石材コーティングに比べ、より
ハイクオリティな仕上がりが求められるということでした。

コーティングを塗る作業はもちろん大切なことなのですが、
それ以上に大切なことはコーティング施工後の空拭きに
使用するクロスの選定が仕上がり精度に大きな影響を
与えるということです。たとえコーティング剤そのものが
どんなに優れたものであっても、どこにでもあるような
マイクロファーバークロスなどで空拭きをしてしまうと
満足のいく艶は到底得られません。私は実際に車に
ガラスコーティングを施し、様々なマイクロファイバー
クロスを使ってみて、かなり早い段階でマイクロファイバー
クロスは使いものにならないと見切りをつけました。
ふと気づいてみたら「いつか来た道」です。
私が市販の石材コーティング商品に見切りをつけ、
オリジナルアイテムの開発に取り組んだのも
今回のケースとまったく同じです。

最近つくづく感じることは、「業界の常識は非常識」
ではないかという思いです。石材メンテナンス業界然り
車のボディコーティング業界然りです。説明をすると
長くなるので割愛しますが、今回私が気づいたひとつの
例としては、マイクロファーバークロスは車の
コーティング施工の拭き取りにはあまり向いていない
ということをうすうす気づきながら(もちろん
気がつかない人も結構います)いまだにそれを
使い続けているというのがカーコーティング
業界の現実ということです。

私がまずトライしてみたのが不織布です。
マイクロファーバークロスがコーティング剤を
必要以上にこそぎ落としてしまうことが問題
なのであれば、基本的に吸収することのない
不織布がもしかしたら良いのかもしれないと
気づいたわけです。



不織布と一口に言っても数多くの種類があります。
その中で私が外せない条件としたのが

・素材を傷めない
・柔軟性がある
・拭き取りやすい

の3点です。
試行錯誤を繰り返したどり着いたものは、
半導体工場のクリーンルームで実際に使用
されているといわれる不織布のクリーニング用
クロスでした。その中でも一枚200円もする
クロスが最終候補に絞られたのですが、やはり
不織布は不織布でした。かなりいい線まで
来ていたのですが、最後の最後のクリアになる
寸前の拭き取りの感覚が微妙に馴染めませんでした。
拭き取りした後の艶もほぼ理想的で、それなりに
満足できる状態だったのですが、使い心地の微妙な
違和感が心のどこかに引っかかりました。これには
時間を割いて使い心地を検証しましたが、結局
最終的にはセラミックガードNEOの拭き取りに
不織布を使用することは断念しました。

そして次に考えたのが綿です。
もしかして化学繊維ではなく自然素材が
良いのではないかという思いが
ふっと湧いてきたのでした。


不織布同様綿のクロスにもいろいろな
種類があります。綿で素材を傷めることは
ないでしょうが、実際に手に取ってみると
手触り感だけでも様々です。綿のクロスは
他の素材とは違い、新品だけでなく使用済みの
綿も各種メーカーから販売されています。
各種クロスを取り寄せ、早速コーティングの
拭き取りの検証をしてみました。
率直な感想としては、今までトライしてきた
マイクロファイバークロスや不織布よりも
使い心地は断然良い感じです。その中でも
特に良かったのが一度洗ってあるメリアス
生地でした。
これで十分かと思い販売を想定して真剣に
考えたのですが、販売に際し一番ネックと
なりそうなのがクロスのヨレと繊維のカスです。
やはり商品として販売する以上、生地にヨレが
あると使う人も抵抗感があるでしょうし、繊維の
カスに関しても目視では問題はないのですが、
ナノレベルでは繊維のカスがコーティングに
付着している可能性が高く、特に一度洗濯を
してあるメリアス生地に関しては、よりカスの
発生が高くなることは免れないでしょう。
では新品のメリアス生地はどうなのだろうと
試してみましたが、やはり洗濯済みのメリアス
生地のような吸水性がなく、結局綿生地のクロスも
やむなく断念することになりました。ただ、あまり
神経質にならないのであれば綿クロスで拭き取りを
行っても問題はないと思います。

そしてしばらく考えあぐねていた時に、
突然ひらめいたのがスエードクロスでした。
ご承知のようにスエードには天然皮のスエードと
化学繊維の人工のスエードがあります。もちろん
検討しているのは後者です。スエードについて
調べていくうちに気が付いたことは、マイクロ
ファイバークロスなどと比較すると価格は高め
ということです。
一枚300円くらいから2000円以上のものまで、
価格のばらつきでいえば不織布に似ています。
コーティングの拭き取りにどのようなスエード
生地が良いのかは使ってみないとわからないので、
いつものようにサンプルを取り寄せ試してみました。
線維カスがぼろぼろ出てしまう商品も何点か
ありましたが、今まで使ったクロスの中では
個人的には最も理想的なものでした。
確かに吸水性の感覚についてはメーカーごとに
違いますが、マイクロファイバークロスで
拭き取った際のこそぎ取る感覚がなく、しっかりと
コーティングは素材に保持されているのが伝わります。
そして最終的に私が最も気に入ったスエード生地はこちらです。


このクロスはもともとメガネ拭き用として開発された
ものなので、大きさが10cm×10cmと車用としては
小さすぎます。これを30cm×30cmの大きさに
カットができるのかどうか現在交渉中です。
メーカーさん曰く「これをコーティング剤の
拭き取りに使っているのは聞いたことがない」と
びっくりしていたので、内心ほくそ笑んで
しまいました。いろいろ聞いてみたところ
スエードもこれだけではなく、成分の配合比で
様々なパターンのものが作れるということでした。
発注ロットや価格の交渉はこれからです。

今年中に販売予定のセラミックガードNEOを
出す頃までには、オリジナルのコーティング用
拭き取りクロスとして販売することができるかもしれません。

お楽しみに!


車のメンテナンス | No.140 新井田   2016/07/22(Fri) 17:32:46
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