黒御影石の風合いを維持して滑りにくくするには
雨が降った際に御影石の床が滑るというご相談を
お客様からいただきました。
下の写真をご覧ください。

現調して確認したところ、石の色味が経年で
くすんではいますが、黒御影石の「G332」の
本磨き仕上げと判断しました。

ジェットバーナー仕上げと違い、表面加工が
本磨き仕上げだとツヤがあり高級感は出ますが、
滑りやすくなるという問題が発生します。
屋内であれば入口付近に足ふきマットを敷く
ことで対処できますが、屋外部分は転倒事故が
発生した場合、訴訟問題に発展するケースも
あります。

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滑り止めの方法は大きく分けて5つあります。
ここでは、それぞれ簡単に内容をご説明します。

①ジェットバーナー工法
素材表面に2000℃前後の高温のバーナーをかけ、
素材表面に細かな凹凸をつくる工法です。主に
花崗岩等の御影石フロアーで使われている工法です。

②サンドブラスト工法
素材表面に砂や細かなカーボンを専用の大型
マシンで強力に吹き付けることにより、凹凸を
つくり滑りにくくする工法です。

③塗布工法
微細な特殊骨材が配合された専用塗料または
微細な特殊シリカ成分を配合したコーティング
剤を素材表面に塗布する工法です。

④テープ工法
いわゆる「滑り止めテープ」を素材表面に貼る
工法です。

⑤酸性の液剤を使用する反応型工法
素材表面に化学的反応を発生させ、床の表面に
ミクロンサイズの凹部を形成し、防滑処理を
施します。

細かな説明は「石とメンテナンス」に記して
おりますので、ご興味のある方はご覧ください。

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今回の現場では、黒御影石本来の風合いを維持
したままグリップ力を上げてほしいとのご要望が
あり、大掛かりで素材表面の表情を変えてしまう
①、②の方法は避けて、⑤と③(特殊シリカ成分
を配合したコーティング剤を使用)の工法で
仕上げました。

まず、水養生をして目地を保護します。

その後、「マイクログリップ」の原液を塗布し、
15分間乾かないようにモップを動かしながら
反応させ続けます(素材により反応時間が変動
しますが、本施工前に一部テスト施工を行い、
最適な反応時間と防滑性能を確認したうえで
決定しています)。

▼マイクログリップ塗布後、モップを動かし続け
 反応させる

▼アルカリ性洗剤による中和洗浄


汚水を回収し、滑り止めの効果を確認します。
問題が無ければ中和洗浄をして滑り止めの
施工は終了です。

そのままでもツヤに変化はほとんどなかったので
問題はありませんでしたが、今回はより黒味を
出して保護もしたいというご要望もあり、防滑
性能のあるガラスコーティング剤「アンチスリッ
プセラミックガード」
を拭き取り仕上げで施工し
2時間程度乾燥させて完了となりました。

▼コーティング剤塗布の様子

▼施工後




余談ですが、測定器による滑り抵抗係数(CSR:
Coefficient of Slip Resistance)はCOFという
数値で表現されます。UL(アメリカ安全規格)や
OSHA(アメリカ労働省安全保険局)等では、
この試験方法で湿潤時0.50COF以上、歩行用
スロープ等では0.60COF以上が安全基準と
されています。

▼施工前はCOF 0.56 DANGEROUS(危険数値)

▼施工後はCOF 0.76 SAFE(安全数値)に改善



滑り止め | No.580 新井田   2022/06/28(Tue) 16:05:30
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