マイクロポリッシュでのサンドストーンの再研磨
今回は都内のみならず大阪や福岡に出張し、
サンドストーンフロアーの再研磨とコーティング
施工を初めて経験しました。久しぶりにいろいろ
感じたこと、考えさせられたこと、直感したこと
等をお伝えしたいと思います。

通常石材の再研磨には専用のダイヤモンドパッドを
使用します。大理石用・御影石用等それぞれ専用の
ダイヤモンドパッドがあります。
ダイヤモンドパッドは大きく分けるとメタルダイヤと
レジンダイヤに分かれ、リッページ(石と石との段差)や
深い傷を削り取る等の作業にはメタルダイヤが使われ、
鏡面の再生にはレジンダイヤを使うのが一般的です。
まずは写真をご覧ください。

この床の素材はイタリア産のピオトラセレータと
呼ばれるサンドストーンです。
手前側の黒い部分が施工前、奥の白い部分が
マイクロポリッシュ#2(#100程度)
#3(#200程度)でリッページを除去・再研磨をし、
マイクロシーラーインナーガードプレミアム
コーティングした状態です。


本来リッページの除去にはメタルダイヤが使用されます。
御影石等の硬い石種はまだしもサンドストーンは
硬度が低くやわらかいので、リッページがひどい所には
硬いメタルダイヤが強く当たると欠けの問題が発生する
リスクがあります。そのような事情から今回はメタル
ダイヤは使用せず、コストはかかりますがレジンの
マイクロポリッシュで作業を行いました。
マイクロポリッシュ#1、#2、#3に関しては研削能力を
メタルダイヤにより近づけるため、相当量のダイヤを
含有しています。
マイクロポリッシュの研削力はレジンダイヤの中では
敵なしです。しかし問題はもともとマイクロポリッシュは
大理石や御影石フロアーを再研磨するために開発された
商品のため、サンドストーンを研磨することはまったく
考慮されてはいませんでした。
例えば他の石種用のダイヤモンドパッドでサンド
ストーンを研磨をすると、石の硬度や組成がまったく
違うため、ほとんど研削しないかダイヤ成分が一気に
なくなり、業界用語でいう「ともずれ」を起こします。
今回のケースは後者でした。これは大幅なコストアップに
直結します。しかし反面マイクロポリッシュのブラッシュ
アップのまたとないきっかけでもありました。
ダイヤモンドパッドはダイヤの粒子が樹脂で保持された
状態になっており、その樹脂の硬さや成分の配合により
ダイヤの保持力に違いができ、それで研削の能力を調整
します。樹脂を固くすればダイヤの持ちは良くなりますが、
研削能力が落ち(アメリカ製のダイヤはほとんどこれ)、
やわらかくすると研削力は強くなりますがすぐにパッドは
減ってしまいます(これがともずれ)。

この相反する問題を解決するために今回はマイクロ
ポリッシュ#2、#3を発注する毎に樹脂の成分や
種類を微妙に調整しながらブラッシュアップを行いました。
まさに手探り状態です。今まで誰もトライしていない
ことなので不安にもなり、誰もいない荒野の中を
歩いているような気分でした。そして試行錯誤の末
なんとか目処が立ち、それなりの研究開発費は発生
しましたが、マイクロポリッシュの#1、#2、#3に
おいては石種を問わず研削能力に関して理想的な
ダイヤモンドパッドに近づけたであろうという気がします。


今回、サンドストーンのリッページ除去と再研磨で
日本各地を転戦(?)し、1000平米以上自分で
作業をしたりたくさんの方に作業をしてもらいました。
大理石フロアーの再研磨はウン万平米は経験済みですが、
サンドストーンの再研磨は今回が初めての経験ということも
ありいろいろな問題が発生し、すったもんだの連続でした。
ホテルで寝泊まりをしながら夜間作業が続き、疲れもたまりました。
しかしその苦戦の中で「石材のメンテナンスの極意は現場でしか
生まれ得ない」という確信が得られました。
長い間ああでもないこうでもないと、ない頭を振り絞り
もがき苦しんだことは何一つ無駄ではなかった、ということを
改めて実感することができた出張でした。



研 磨  2014/12/04(Thu) 17:51:57
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