エフロを防止する方法
エフロレッセンスを防止するには、一にも二にも
水の浸入を食い止めることです。ただどこからともなく入ってくる
雨水を完全に防ぐことはまず不可能なので、その元凶をつぶさに
調べ上げ、防水工事を行うことはほとんどありません。
大概エフロを除去するくらいにとどめ、あとは出てきても
見て見ぬフリをすることがほとんとです(笑)
そのような事情からエフロを完全に止めるのではなく、
エフロの発生を抑制するにはどうすればよいのかについて、
種類別で説明をしていきます。

=モルタルやコンクリートの場合=

素材を緻密化させる
セメント成分の炭酸カルシウム分が、酸性雨と科学的に反応し
析出することは自然の摂理上免れません。ですからエフロを
止めるのではなくエフロを抑制するためには、素材を緻密化
させる方法しかありません。
例えば塗料やコーキングなどでエフロ部分を完全に覆うのも
ひとつの策ではあるのですが、素材感が完全に損なってしまう上
たとえエフロ部分にそれらを施工しても、まったく別の劣化場所から
同じようにエフロが噴出することがほとんどです。

モルタルやコンクリートを緻密化させるためには、マイクロシーラー
水性インナーガード
マイクロシーラーエフロブロックが適しています。
エフロの発生が軽微な場合は水性インナーガード、エフロの発生が激しく
素材の劣化が進行している場合は、まずは水性インナーガードを施工後
乾燥を確認した後エフロブロックを塗布することをおすすめします。

=ライムストーンの場合=

今までの個人的な経験値ではありますが、エフロレッセンスが
最も析出しやすい石種のひとつにライムストーン(石灰岩)が
挙げられます。ライムストーンより吸水性が高そうな大谷石や
十和田石等の軟石の方がエフロが発生しやすいイメージですが、
それらの素材表面にエフロが析出するケースはほとんどありません。
なぜなら隙間だらけの石なので、炭酸カルシウムのエフロレッセンスが
析出してもそのまま水と一緒に流れ出てしまうからです。
ただ、下のモルタルが起因して目地部分からエフロが発生することはあります。

ライムストーンは堆積岩の中の生物岩の仲間で、サンゴや貝殻が堆積して
できた岩石なのでセメント同様炭酸カルシウム分が多く含まれています。
そのため下地のモルタルからのエフロだけではなく、ライムストーン自体
からも雨水と反応してエフロが発生することがありますので厄介です。

ライムストーンに発生したエフロを防止するためには、前回のモルタルと
同じ要領で行うことが基本です。
ただしライムストーンは下地だけでなくライムストーン本体からの
エフロの発生も考えられるので、できれば最後にマイクロシーラー
インナーガードプレミアム
を塗布するとより理想的です。
ライムストーンはやわらかい素材なので、傷を防ぎたい場合は
その上にマイクロシーラーセラミックガードを施工するのも良いです。



=大理石の場合=

石材の輸入販売をしている業者の方々も気づいていないことなのですが、
実は大理石には鉱物学的に2つの種類があります。
堆積岩系大理石変成岩系大理石です。

この2つの分類は、建築石材の分類を鉱物学的な見地から
私が独学でいろいろと類推しているうちに気づいたことなので、
おそらく今まで誰もこのような分類はしていなかったと思います。

私が勝手にネーミングをした名称なので、この分類はまだ一般化
されてはいませんが、もしより詳しくこの分類を知りたいという方は
石とメンテナンス』を是非お読みください。
これを読めば、きっと建築石材のそれぞれのポジショニングが
よりクリアになるはずです。

大理石の中でも特に素材表面にエフロが発生しやすい石種は
ほとんどが変成岩系大理石です。
特にボテチーノやネグロマルキーナなどに発生しやすいです。
おそらくこれらの石種は、炭酸カルシウム分が多いために
エフロが発生しやすいのではないかと私は考えています。
他の要因としては、石種の組成上エフロが析出しやすい
結晶構造なのかもしれません。

大理石フロアーの場合ですと、特に窓際にエフロが発生しやすいです。
考えられるのは、外部の下地から窓際の下を通って屋内の下地に水が回り、
それがエフロと発生する要因ではないかと思います。

大理石フロアーの窓際のエフロの発生を防止するには、まずは
水性インナーガードを塗布し乾燥後、インナーガードプレミアムを塗布、
そして亀裂部分にレジンガードをなるべくたっぷり塗布して
すぐ拭きあげる方法を行うと効果的です。
セラミックガードでも良いのですが、試してみるとレジンガードの方が
より効果的なのがわかりました。

変成岩系大理石の窓際のエフロの発生を防止するのは、
私の経験上かなり厄介です。


=御影石の場合=

一般の方だけでなく、石材に携わっている方々は「御影石=花崗岩」という
考えがほとんどだと思いますが、正確にはすべての御影石が花崗岩
ということではありません。
建築材や墓石でよく使われている白御影石、櫻御影石、赤御影石などは
確かに花崗岩なのですが、黒御影石に関しては鉱物学的には斑レイ岩の範疇です。
ただしこれはあくまでも鉱物学的な分類であって、建築業界では
どうでもよいことなので、この知識は皆様の頭の片隅にでも
記憶しておくくらいで良いでしょう。

では本題に入ります。
御影石の素材面にエフロが発生する場合、多くはエフロレッセンスではなく
サブフロレッセンスとして発生します。御影石は大理石や石灰岩などと比較すると
緻密で硬いため、エフロが発生したとしても表層に析出することは稀で、石材の
内部に留まってしまいます。このようなサブフロレッセンスを除去したい場合は、
マイクロクリーナーエフロブレイクで取れる分だけ除去し、マイクロクリーナー
ストロング
で中和洗浄後しっかりと乾燥させ、マイクロシーラーインナーガード
プレミアム
をたっぷり塗布しておくと、サブフロレッセンスの防止に効果的です。

これでエフロに関する説明は終了します。
エフロレッセンスやサブフロレッセンスでお困りの方は、お気軽に
お問い合わせください。

クリーニング | No.334 新井田   2017/06/07(Wed) 11:12:33
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